ダウントンアビーは、1900年代初頭のイギリス貴族とその貴族に仕える使用人のドラマです (全6シーズンのドラマに加え、映画2本があります)。
シーズン5まで視聴していて、気が付いたことがあります。
貴族や使用人がトイレに行くシーンや、トイレに関連するシーンがまったくない……!
実は、食事をするシーンはたくさんあるのに、トイレ掃除も、室内用トイレ (おまる) の処理などのシーンも1度もないんです。
そこで、20世紀初め (1900年代初頭) のイギリスのトイレはどうなっていたのか?をまとめてみました。
- 20世紀初めのイギリスのトイレ事情
- ダウントンアビーのロケ地ハイクレア・カースルに水道が整備された時期
- ハイクレア・カースルにトイレはあるのか
中世ヨーロッパでは、室内用トイレ (chamber pot=おまる) が一般的でした
20世紀初めのイギリスのトイレ事情
イギリスで最初に水洗トイレを発明したのは、1596年、サー・ジョン・ハリントンによるものだったとされています。
さらに、配管工技師ジョージ・ジェニングズ (1810-1882) が水洗トイレを製造し、1851年にロンドンで行われた大博覧会 (Great Exhibition) にて、水洗トイレを設置し、金賞を受賞しました。
ちなみに、それ以前は、屋外トイレや室内用トイレ (おまる) を利用していました。
そして、1860年代になると、トマス・クラッパーが水洗トイレ事業を展開しています。
イギリスのサイト、BIG BATHROOM INSPIRATIONの記事によれば、1900年になってはじめて、バスルームつきの住宅が建てられるようになったようです。
Working class houses with bathrooms were first built around 1900, and in the 1920’s council houses were built with bathrooms. At this time, bathrooms were still considered to be a luxury, and as late as the 1960’s, many homes in Britain did not have a bathroom, which meant that some people had to make use of an outdoor toilet and wash in a bath that was placed in front of the fireplace.
引用元:A BRIEF HISTORY OF THE BATHROOM
(訳:バスルームのある労働者階級の家が建てられたのは1900年頃で、1920年代にはバスルーム付きの公営住宅が建てられるようになった。この頃はまだバスルームは贅沢品とされており、1960年代になってもイギリスにはバスルームのない家が多く、屋外トイレを利用したり、暖炉の前に置かれたバスで洗ったりする人もいた。)
ということで、1900年以降、徐々にイギリス国内に水洗トイレが普及していったのではないでしょうか。
ハイクレア・カースルに水道が整備された時期
ダウントンアビーが撮影された邸宅 (カントリーハウス) は、イギリス・ハンプシャーにある「ハイクレア・カースル」です。
ロンドンから車で西へ1時間20分ほどの距離に位置しています。
そのハイクレア・カースルに、水道が整備されたのは1897年以降のことでした。
Running water was not installed in Highclere until 1897
Prior to 1897, baths were taken in freestanding tubs in front of the fire in the bedrooms. “If there were 25 guests staying, plus family, that meant 30 fires and 30 baths to fill. (中略) Old habits die hard, and many guests preferred to use a jug and a bowl than the marble inlaid basins.”
引用元:The Real Downton Abbey: Juiciest Bits From ‘The Lost Legacy of Highclere Castle’
(訳:水道が整備されたのは1897年以降
1897年以前は、ベッドルームの暖炉の前にバスタブ単体を置いて入浴していた。「25人の宿泊客とその家族がいれば、30回火をおこし、バスタブにお湯を入れたことになる。(中略) 古い習慣はなかなか消えないもので、お風呂よりも水差しと手桶を好む人も多かった。)
ダウントンアビーのドラマの中では、厨房で水道から水を出すシーンがありましたが、実際の水道整備のタイミングとは一致しているようです。
さらに、バスルームらしき場所にバスタブが設置されていたシーン (石けん事件のとき) もありましたね。
なお、上水道については上記の通りですが、下水道を含む水洗トイレについては整備された時期は不明でした。
ハイクレア・カースルに水洗トイレはあるのか
ハイクレア・カースルは、主に夏期に見学をすることが可能です。
見学に訪れる観光客用には、邸宅の外に水洗トイレが用意されています。
AccessAbleのサイトより、”Accessible Toilet (Toilet Block – Right Transfer)” の項目から、観光客用のトイレを確認することができます。
邸宅内のトイレの写真については一般公開されていないため、確認ができませんでした。
ハイクレア・カースルには、第8代目カーナボン伯爵夫妻が居住しているので、水洗トイレは整備されているはず!
ダウントンアビー|20世紀初めのイギリスに水洗トイレはあったのか?・まとめ
ダウントンアビーの時代は1912年~1928年のイギリスですが、水洗トイレが大々的に認識されるようになったのが、1851年にロンドンで行われた大博覧会 (Great Exhibition) でした。
さらに、その後、1860年代になるとトマス・クラッパーが水洗トイレ事業を展開しています。
というわけで、20世紀初めのイギリスでは水洗トイレが普及しつつありました。
ただし、ダウントンアビーの時代のカントリーハウスに、水洗トイレが設置されていたかどうかは定かではありません。
貴族たちが使用していたのは水洗トイレだったとしても、使用人たちは室内用トイレ (おまる) を使用していたの可能性もあります。
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