ダウントンアビーに出てくる限嗣相続制って何？

1900年代初頭の貴族文化をドラマ化したダウントンアビーを視聴しています。

外国の、しかも100年前の時代を舞台にしたドラマですが、当時の文化や生活習慣を垣間見るのがとても楽しいですし、何より勉強になります。

さて、シーズン1の冒頭から、「限嗣相続制」に関わるストーリーが展開されます。

この聞き慣れない「限嗣相続制」という言葉。いったい何なのかを調べてまとめてみました。

限嗣相続制とは

限嗣相続制は何かと一言でいうと…

です。

つまり、一家の爵位と財産すべてが、1人に相続されるということです。

また、相続できるのは「嫡男」であるため、非嫡出子にはその権利がありませんでした。

もし、嫡男がいなければ、一族の中でもっとも近い血縁の男性が相続人になります。

なお、この制度、”Law of Property Act 1925″ (1925年財産権法) により、1925年に廃止されています。

限嗣相続制の目的とは

限嗣相続制の目的とは、

でした。

たしかに、複数いる子女に均等に相続することになれば、数世代後には、一族の財産は最小単位にまで分割されることになります。

そして、その一方で、この限嗣相続制にはデメリットがありました。

血縁とはいえ、かなり遠縁の男性に爵位・財産が相続されることもあり、会ったことも話したこともない相手に、いってみれば「横取り」されるということです。

逆に、思いがけず相続人になった血縁者は、タナボタ的な財産と爵位を手にすることができたということになります。

プラスの面もあれば、マイナスの面も併せ持っていた制度であり、なんといっても「嫡男」が生まれるかどうかが、一族にとってのカギであったと言えるでしょう。

ダウントンアビーの場合にあてはめると

では、限嗣相続制をダウントンアビーにあてはめてみるとどうなるでしょう。

7代目グランサム伯爵であるロバート・クローリーは、アメリカ人の妻コーラとの間に、3人の娘がいましたが、息子はいませんでした。

そのため、グランサム伯爵の爵位と財産は、長女メアリーはおろか次女や三女は何も相続することができませんでした。

そして、誰が相続人候補となったかというと、血縁関係にあるパトリック・クローリーでした。

パトリック・クローリーは、グランサム伯爵から見てどれくらい遠縁かというと……

となります。

このパトリック・クローリーと、長女メアリーは結婚する手筈になっていましたが、1912年のタイタニック号沈没により、相続人の話も結婚の話もなくなったのでした。

続いて、次の相続人の候補に挙がったのが、同じく血縁関係にあるマシュー・クローリーでした。

同様に、マシュー・クローリーは、グランサム伯爵から見てどれくらい遠縁かというと……

となります。

グランサム伯爵 (ロバート・クローリー) からみると、「みいとこの息子」ということになるのでしょうか (たぶん)？

最初の相続人候補のパトリック・クローリーより遠縁になるので、抵抗感は薄れますね。

ドラマの中では、平民だったマシュー・クローリーは相続により伯爵という爵位を得て、財産を相続することになるわけですが、「突然、お金もらえてラッキー♪」なんて表情にも一切出さないで、平静を装っています。

むしろ、「平民だった自分が伯爵になれる上に、財産もらえて儲かったー！」と喜ぶ方が自然なんじゃないかと思うのですけれど……。

「好青年」という設定のためかもしれません。

ダウントンアビーに出てくる限嗣相続制って何？・まとめ

ダウントンアビーで、シーズン1・第1話から出てくる「限嗣相続制」とは何かについてまとめました。

ダウントンアビーでは、グランサム伯爵 (ロバート・クローリー) には3人の娘がいましたが、息子がいなかったため、相続問題が発生し、伯爵一家のみならず、一族が関わる大きな問題となりました。

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